JGC 2011 レポート その6 エクリプスフェイズ

超未来、人類が宇宙に進出し、お定まりの地球滅亡危機を経た後、太陽系は機械化人やら超能力者やら知性化動物やらが跋扈するSF世界になりました。人類はいわゆる電脳化から更に先に進んで、精神はデータ、魂って何? という境地にたどり着いているそうで、脳バックアップもコピークローンもデジタル精神転送もどんとこい、地球軌道から金星までの移動も精神転送で一瞬という世界観です。

1日目に暇潰しと思って参加した翻訳系座談会で、新作として出てきたのがこのエクリプスフェイズでした。興味が沸いたので、機会があれば参加したいと思ってましたら、R?CONの抽選でうまい具合に整理券を入手できました。

GMは翻訳者の岡和田晃さん。プレイヤーは4名。

最初にA4で30ページくらいある書類を渡されます。英語版のクイックスタートを和訳したものなのだそうです。これ全部読むのかなぁと思ったら、あくまで参考資料なので持って帰ってくださいとのことでした。一安心。

簡単な説明の後、幾つかのキャラテンプレから1つを選び、キャラ名と設定を決めます。
キャラテンプレは10種類ほどありまして、いかにもな電脳擬体から猿やタコまで。虫の群れなんてのもありましたがどうやってロールするんでしょうね……。

私はタコを選択。テンプレによると、職業は骨董、書道が趣味で日本語を喋るそうです。被差別種族ですが、人類に対しては上から目線。作者のセンスがよく判りません。キャラ名は自由とのことで、海にちなんだ名前で、カイバ=ラさんにしました。

ここまでで1時間くらい。5分程度の休憩をとってプレイ開始です。

目が覚めると、そこは知らない場所。どうやら「前の我々」は死亡したようで、バックアップから再起動したのが「今の我々」のようです。戸惑う暇もなく組織のエージェントやら敵がぞろりと現れ、真相を解明するために我々は金星へ……。

というのが今回のお話。世界観や設定を確認しながらも、さくさくとプレイを進めていって、無事に終了しました。セッション時間は4時間程度。お疲れ様でした。

 

設定のハードルの高さに比べて、システムそのものは簡単でした。GMに○○したいです。技能は○○を使いたいです。と申告してOKなら、d100を振ってで達成値以下で成功。ゾロ目でクリティカル。技能の選択がマズければマイナス補正がかかったりします。戦闘も同様で戦闘技能で判定、回避技能で対抗です。

逆にキャラの作成は重そうです。今回は設定済みのテンプレキャラを使いましたけれど、実際にはCP制でキャラを作成するそうです。項目が多いので、フルスクラッチでキャラを作るとかなり時間がかかりそうな気がします。

自由度が高くてキャラメイクに手間を割く分、ルールはシンプルになってるのかな、と。今回は適用の難しいスキルやキャラは採用しなかったそうですので、特にそう感じるのかもしれません。

ロールプレイへの縛りは緩めです。キャラの背景設定に沿った目的を達成すると獲得経験値に影響するという緩い特典はありますが、ロールプレイをすると有利になる(≒しないと駄目)とか必ずピンチになる。的な最近の和製TRPGによくあるルールはありません。終了後の雑談でも話題になったのですが、この辺は違和感を持つ世代もあるのかなぁとは思います。

  
 

ハードカバー装丁にリアル路線の挿絵。堅い文体のSF設定で、米国製の輸入システム。というだけで、もう素人お断りって臭いしかしないのですが、やってみると割とそうでもないです。有名どころのSFを適当にくっつけて何でもアリにしたお気楽SFを、大真面目に艤装した感じでしょうか(笑

いっそ、ラノベっぽくエクリプス学園とか始めると、ハートフルでちょっと不思議なお話に……なりますかね(汗

ただ、SFはSFなんですよね。馴染まない人はトコトン駄目なジャンルです。今回、休憩時間に参加者のお一人が「精神をデータ転送したら、元の体の精神はどうなるんでしょうか、死んでるのでは?」という質問をされてたのが印象的でした。
なお、現在、権利交渉中で発売は未定だそうです。ここまで進んでいるのに、出ないということは無い……ですよね(汗(汗